オーマイグラスが展開するプライベートブランドに紐付けた企画。「東京の今」を生きるクリエイターの方に、メガネにまつわるインタビューをしていきます。
今回はロンドンでの演劇留学を経て、舞台やCMを中心に活躍する清純派女優、今井由希(いまいゆうき)さんにお越し頂きました。
メガネを通して、今井さんの役作りや人生観、今後の女優人生にスポットライトを当てていきます。
劇団「柿喰う客」に所属する舞台女優。ロンドン芸術大学を卒業後、本格的に女優活動をスタートさせる。
出演作品
舞台
劇団ウルトラマンション「いちについてよーい」作・演出:安藤亮司
柿喰う客フェスティバル2017「無差別」作・演出:中屋敷法仁
WEB
グリコ パピコ「お風呂上がりにパピコ」篇
幼い日の挫折と再チャレンジ
-女優を始めるきっかけを教えてください
一番初めのキッカケは、姉のピアノ発表会やバレエなど様々な舞台を見る機会があって「舞台って綺麗なんだな」と思ったことです。特にお芝居には心惹かれました。
それからお芝居をやるために児童劇団に入りました。でも周りの子の演技がとても上手だったためにすぐに心が折れてしまって……しばらくは芝居のスタッフの勉強をしましたね。
-スタッフからもう一度女優を始めたのはどうしてですか?
やっぱり女優に挑戦したいという思いがくすぶっていたんです。そんな時、ある舞台の公演のスタッフとしてお招きいただきました。その時は演出家の方に「今日のお茶入れたの誰だ!マズイぞ〜!」なんて言われていましたね(笑)
その公演の出演者の方々は本当に素敵な人ばかりでした。そこで思い切って自分の女優への気持ちを伝えてみました。すると「やりたいことをやった方が良いよ!」と背中を押していただいたんです。
当時私は容姿に自信がなくて、メガネで素顔を見せないようにしていました。でも公演の出演者だった女優さんに「あなたメガネを外しても大丈夫よ。女優でもやっていけるわよ」と言っていただいたんです。ご本人が覚えているかは分かりませんが、私の大好きな女優さんだったこともあって本当に励まされました。
メガネは人のテンションを変えるアイテム
-普段からよくメガネをかけるんですか?
メガネは大好きで普段からよくかけています。お稽古や本番以外ではメガネで過ごしているんです。あまり動かないお稽古の時もメガネですね。自分が所属する劇団の時はコンタクトです。
丸メガネが一番好きなんですが、アンダーリムやウッドフレームのようにちょっと変わったフレームも好きです。ウッドフレームは高いけれど、いつか本物をかけてみたい!と思っていますね。
-メガネをかけて役作りすることもありますか?
あります。考古学者やデザイナーの役をいただいた時は「やっぱりメガネかな?」と思ってかけてみました。実は私自身も歴史研究やデザインに関わっています。書物や美術品を見たりする時にメガネをかけるんです。
脚本・演出家の方も、私が考古学やデザインに関わっていることは知らないのに、なぜか自分の好きなことがお芝居に繋がることがあります。そういえば「メガネ」という名前のメガネをかける役をもらったこともありましたね(笑)
あえて大ぶりなフレームをかけたり、スマートな印象に見せたい時はメタルの丸メガネをかけたり、メガネの形によって見た目や自分のテンションも変えています。
「東京」で女優を続ける理由。海外留学で得た気づき
-海外留学の経験があると伺いました。海外を通して日本を見たとき、気づいたことはありますか?
二つ気が付いたところがあります。一つは日本人のお芝居は職人気質ということ。海外では台本に「泣く」と書いてあっても、役者さんが納得しないと泣かないんです。演出家が脚本に書かれた「泣く」というト書きを消してしまうんです。
でも日本の役者さんは要求されれば、納得できるできないは別として、求められた演技をします。自分を律する心を特に強く持っているという印象です。
もう一つ気づいた点は気持ちの揺らし方です。「堪える姿が美しい」という発想が日本の中にあると思っています。「泣くのを我慢しているから、見ている人が泣ける」ということがあるんですよね。こういう演技を得意としているのが日本人の役者さんの特徴だと思っています。
-誰もがどこでもクリエイターとして活動できる時代。あえてこの東京を選んで女優を続ける理由は何でしょうか?
私自身、親の転勤という事情もあって東京にきました。なので惰性という部分もあります。ただ、海外に行って気が付いたのは日本って素敵な国だということなんです。人付き合いも難しい、空気も美味しくない、ゴミゴミしているし、嫌な部分はもちろんいっぱいあるけど(笑)
でも四季や文化、歴史とか、日本人が当たり前に感じているものってやっぱり素敵なので、もっと世界に出していきたいと思っています。
一時活動拠点を東京か京都か迷った時がありました。京都は歴史や伝統を重んじることに対して、東京は都会性や新しいものを受け入れる傾向があるように感じています。それが自分に合っているなと思ったこともあって、東京を選びました。
女優としての今とこれから
-劇団「柿食う客」に所属されていますと伺いましたが、どんな劇団ですか?
大真面目にはしゃぐ劇団です(笑)社会風刺もするし、精神世界を表現することもあります。劇団には「圧倒的虚構エンターテイメント」っていうキャッチコピーが付いています。伝えたいことはあるけれどただ伝えっぱなしではなく、エンターテインメント性を大切にして、お客様に楽しんで帰っていただくことを大切にしています。
日本ではまだまだ舞台の立ち位置は低いように感じています。でも海外に出れば舞台に立って演技できなければ、映像を撮ることもできないという考え方がスタンダード。自分自身もそう感じることは多いです。そういう意味で、私は舞台に出ることをこれからも大切にしたいです。
-今後の夢や目標はありますか?
陳腐な言葉かもしれないですが、実力派女優になりたいという表現が近いです。容姿や年齢を超えて「あの子を見たい」と思ってもらえるような、そんな女優でありたいです。
映画は出てみたいです。最近はアニメやマンガ原作の映画が人気ですが、私は特に社会派の映画に出て見たいです。最近見た中で特に秀逸だなと思ったのは「シン・ゴジラ」ですね。「日本ってこうだよね!分かる分かる!」というものが包み隠さず描かれていると感じました。こういう映画好きなので、出てみたいなと思います。あと、女優として台湾デビューも飾ってみたいなと思っています。アジアって素敵なところですからね。
インタビューを通して見えてきたのは、今井さんの深い精神性。一般的なキラキラした女優像とは裏腹に、地に足のついた地道な芝居への姿勢が印象的です。それはスタッフとして影で舞台を支えてきた経験、海外や歴史研究などの学びを通じて培ったものではないでしょうか。OMG PRESS編集部は、今井さんの日本という枠を超えた活躍を応援しています。
今井由希さん出演情報
柿食う客子供と見る演劇プロジェクト2018
『にんぎょひめ』
原作:アンデルセン「人魚姫」
構成・演出:中屋敷法仁
●王子公演
2018年7月14日(土)〜16日(月・祝)
北とぴあ ペガサスホール(東京)
●つくば公演
2018年7月25日(水)
つくばカピオホール(茨城)
今井由希さんお気に入りフレームはこちら!
合わせやすいボストン型のシェイプのメタルフレームは、フロント部分が着色されてコンビネーション風になっています。肌馴染みの良いライトブラウンで、女性にもお使いいただきやすくなっています。
ネジなどの接合パーツが無く軽量な仕上がり、プラスチックに比べ厚みが出ないためライトで軽快な印象に。上品で遊び心を効かせた一本です。
インタビュー場所:THE LOCAL COFFEE STAND
スマホアプリで事前予約。毎月バリスタが厳選した豆で作られる本格コーヒーを待たずに受け取り可能です。コーヒー以外のメニューも充実。ナチュラルな店内にはソファー席もあり、ゆったりと過ごせます。