職人さん、メーカーの方をはじめ、鯖江でメガネ産業に従事する様々な方にインタビューをしていく企画。こちらでそのほかの記事をご覧いただけます。
今回ご紹介するのは、アイウェアブランド「59 HYSTERIC」を手がけるレインコートの森崎さんです。
59 HYSTERIC
59 HYSTERICは、ミュージシャン・俳優・哲学者・画家などさまざまな芸術分野に存在する悲劇的な生涯を送った後世に名を残す不世出の『天才たちへの憧憬(憧れ)』がコンセプト。
これは、59 HYSTERICのデモレンズに記されている「STILL CRAZY AFTER ALL THESE YEARS(何年も経っているのに、今でもときめいてしまう)」ということばにも表れています。
ブランド「59 HYSTERIC」の誕生
森崎さん「コンセプトは、社長が音楽や小説などの芸術的な分野に関心があり、いつまで経っても色あせない、ヒステリック、悲劇的な面の魅力を表現したいと思ったことがきっかけです。
59の部分については、60という単位が1つの区切りになっています。秒、分は60で一回り。そして時間は常に不変であり完璧なものです。それから1足りない、どこか足りないものを59という数字で表現し、完璧に限りなく近づいた天才たちへのあこがれがこの数字には込められています。」
ブランドの顧客層
森崎さん「59 HYSTERICのデザイン、コンセプトは若い人に受け入れられ、哲学に共感してくれる人、20代、30代の人がターゲットとなっています。
店舗に置いてくださっているのは、多くがブランドのコンセプトにおもしろいといってもらえるコンセプトショップ。コンセプトを打ち出して差別化していかないといけないですから。
若い会社として意識していること
森崎さん「弊社は鯖江のメガネ会社の中では若手で、製造について新しく知ることが多い一方、業界に対してのしがらみはありません。いろいろなところを回りながら、後輩のような気分でいろいろお話を伺っています。
最初に59 HYSTERICをお願いしていた工場だけでは回らなってきたとき、ほかの工場も開拓していきました。中には、家族で回しているような工場もあります。そうした工場に仕事をお願いすると「助かるわ〜」と言ってもらえることは嬉しいですね。
弊社でのOEMの仕事も大きくなってきていて、製造をメインで仕事にされている人々もメガネ作る仕事もやっていけるな、と思ってほしいと思います。このままでは下請けが先細りしていってしまうので、なんとかしないといけない。業界自体が盛り上がっていかないといけませんから。」
新しいブランド「Tailor Hitch(テーラーヒッチ)」
森崎さん「今、うちでは59 HYSTERIC以外にも、新しいブランド「Tailor Hitch(テーラーヒッチ)」スタートさせています。このブランド名は「Tailor(仕立て屋)」に「Hitch(便乗)」したという意味を込めたもの。
素材を切って合わせるというテーラーの作業工程や雰囲気を、アイウェアで表現することを目指したブランドです。
最初の段階では多くの人に受け入れられる商品では差が生まれないので、コンセプトにこだわっています。不況だと見向きもされません。だからといって、価格を下げ、安さ勝負になってくると小さい会社はやっていけません。
次のブランドへのしかけとして、まず認知度を獲得していく。畑を耕すようなイメージですね。新しいブランドを立ち上げるなど、こうした「冒険」は意識しながらやっています。」
海外のマーケットを開拓
森崎さん「うちの商品は、韓国、中国、台湾、カナダなど数カ国の販売代理店と契約しています。海外からもいろんな反応は来ていますが、海外の反応は良いですね。日本製のメガネに興味があるというお客さんも多い。
海外でも品質の部分で評価されてくるので、日本製のこだわりもった商品は多少高くても売れます。なので、職人の多い鯖江のような土地を中心に活動するのは私たちにとっても良いことです。
元々海外を意識していましたが、国内マーケットだけだと領域が狭いので、これからはさらに海外も視野に入れて活動していきたいですね。」
職人さん、メーカーの方をはじめ、鯖江でメガネ産業に従事する様々な方にインタビューをした記事はこちらでご覧いただけます。